勾留理由開示請求公判、報告

4月22日、Aさんの勾留理由開示請求公判がさいたま地裁C104号法廷で行われました。勾留理由開示請求公判というのは、勾留中の被疑者が裁判所に対して勾留の理由を明らかにするよう求める手続です。

当日は多数の警備員・地裁関係者が見つめる中、厳重な荷物チェックがなされ、開廷15分前から狭い一室の中に傍聴人全員が二列に並んで待機させられるなど過剰な警備がなされましたが、多くのAさんの友人、支援者が集まり、傍聴席がほぼ埋まりました。入廷したAさんは私たちを見かけ微笑み返すなど元気な様子でした。

裁判官は勾留を認めた理由として「罪証隠滅のおそれ」や「逃亡のおそれ」などを挙げていましたが、そもそも現行犯逮捕で隠滅する罪証がどこにあるのでしょうか。この状況で罪障の隠滅はあり得ないものです。また住所や名前を特定し家宅捜索まで警察が行っているのに、逃亡のおそれがあるとは考えられません。これらの勾留理由は根拠のないものだと考えざるをえません。

また、弁護士が意見陳述で触れたように容疑は「窃盗」だとされているにもかかわらず、蕨署刑事部捜査第三課ではなく埼玉県警警備部公安第三課が現在取り調べを行っています。裁判官が勾留を認めることは、罪状とは別である情報収集のための取り調べ継続を認めることです。

裁判官は警察・検察行政と結託するのではなく、独立した司法としての矜持を持っていただきたい。私たちは引き続き二名の即時釈放を訴えます!

2人の勾留延長が決定されてしまいました

4月23日、2人の勾留延長が決定しました。刑事訴訟法208条第2項には「裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、前項の期間を延長することができる。この期間の延長は、通じて10日を超えることができない」とあります。
今回の2人に関して「やむ得ない事由」がどこにあるのでしょうか。裁判官は検察の言い分を丸呑みしているだけにすぎません。救援会をはじめ、皆さんの力でこの不当な勾留をやめさせ、2人の即時釈放を勝ち取りましょう!

二度目の激励行動



4月19日、今度は蕨と東浦和の警察署前で激励行動をしました。
これは中に入っている仲間のために、警察署の前に直接行って、声を大きくする「トラメガフォン」を使って「来たよ、がんばれ!」と伝えます。よく晴れたお昼前、東浦和と蕨でみんなで声を出しました。蕨ではかなりの数の警官が来ましたが無事やり遂げました。きっと中にも聞こえているはずです。

さいたま地検前で激励行動を行いました


4月13日、逮捕された2人がさいたま地検に送致されました。警察は48時間を超えて身柄を拘束したい場合には、被疑者を満期以内に検察に送り、検察に勾留請求の手続きを取る依頼をします。警察単独では請求を裁判所にかけられないからです。
私たちはJR浦和駅に集合し、地検の入り口へ向かって激励行動をしました。次々と入構していく車輛の中に、確実に2人がいます。そこに向かって「中はがんばれ!」「外のことは安心して!」と私たちは声をかけ続けました。
2人には私たちの激励の声がしっかりと聞こえたことが、弁護士によって確認されています。

声明文

救援会声明

「排外主義扇動を終らせることを求めて逮捕された二人を救援しよう」

4月11日、外国人「追い出しデモ」に抗議した二人の男性が埼玉県警蕨署に逮捕される事件が起きました。ひとりは「追い出しデモ」の主催者が掲げていた紙製の横断幕を「盗んだ」容疑で、もうひとりはそのおよそ3時間後、公務執行妨害容疑での逮捕でした。彼らの友人として、私たちは両名の救援を呼びかけるとともに、彼らの行動の意義と逮捕の不当性を訴え、埼玉県警に即時釈放を求めます。

この日、外国人「追い出しデモ」を主催したのは、「在日特権を許さない市民の会」という右翼団体でした。彼らはこれまであちらこちらで「外国人=犯罪者」という扇動を続けてきた団体です。彼らはあたり前に地域と関係を作り暮らしている外国籍の人々を「犯罪者」扱いして、国外への追放を求める活動を続けています。そのあげく彼らは個人攻撃を開始し、長期に地域に滞在する一家を「追い出せ」とまで言いだしたのです。
このことをネットなどで知り、当日「在特会」のデモに抗議しようと蕨市外から駅前に40名ほどの個人が集まりました。それぞれの思いは異なるにしても、共通していたのは彼らの煽る排外主義への危機感と、弱い立場にある人を標的にして攻撃する彼らの卑劣さへの怒りでした。
あろうことかこの日のデモコースには、長期滞在の外国人ご一家のお子さんが通っていた小学校と、現在も通っている中学校が含まれていました。そこで彼らが「一家を追放せよ」と叫ぶことは、その一家に対してだけでなく、長期滞在するすべての外国人に対する暴力です。「特権を許さない」と彼らは言います。しかし、彼らが攻撃の標的としたのは、もっともこの社会の特権からは遠い外国人の、しかも子どもです。彼らの言う「国民大行進」は、そのような卑劣かつ卑怯なデモだったのです。

午後1時から「在特会」は「一家の追放」を叫ぶ集会を駅近くの公園で開始しました。その集会の終わりごろになって、公園の入口に彼らが作成した紙製の横断幕が運ばれてきたのです。そこに書かれていたのは「不法入国は犯罪だ。『かわいそう』のペテンにだまされるな」という文字でした。蕨に住む家族を明らかに標的としたこの言葉は言葉の名に値するものではありません。これは地域に住む超過滞在の外国人を攻撃する暴力なのです。「追い出しデモ」への抗議に参加していた彼が行ったのはこの暴力への抵抗でした。警察は当初、彼に「任意同行」を求め、彼もそれに応じました。ところが「在特会」はあろうことか「窃盗」事件として被害届を出し、そのため彼は「窃盗犯」として逮捕されいまなお蕨署に留置されています。

その後、抗議活動に参加した人々の多くは蕨署に集まり、正規の手続きに則って逮捕された人への面会を求めました。ところが蕨警察署はバリケードを築き警察官を配置し、根拠も無く面会を拒みました。それどころか弁護士が身分を提示して面会を求めても1時間以上にわたって面会を拒否し続けたのです。そして突如そこに蕨警察署に先導された右翼が登場しました。彼らは抗議活動に参加した人々に罵声を浴びせかけ、その際に生じた混乱の中で一名が公務執行妨害容疑で逮捕されたのです。

今回の行動については、参加者の間に充分な意思統一がはかれず、抗議行動を呼びかけた側の不手際も多々あったようです。抗議行動を呼びかけた側はその点を十分認識しなければならないと私たちも考えます。しかし、抗議行動が企図した「在特会」への抗議そのものは正当なものだと私たちは考えます。彼らの行ったデモは多くの外国籍で暮らす不安定な法的地位の人々を恐怖にさらす重大な犯罪です。裁かれるべきは彼らです。
一方で、「在特会」が「犯罪者」と叫び排除を求めているのは、この社会で生き、働き、人々と友情関係を結ぶ人々です。ビザがないことはだれを傷つけているわけでも誰を侵害しているわけでもないのです。
生きることは犯罪ではありません。私たちは排外主義扇動を終らせることを求めて逮捕された二人をただちに釈放することを要求します。

2009年4月12日
「外国人追い出しデモ反対行動」救援会
連絡先:oidashihantai@gmail.com


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2名をいちはやく釈放させるために両名の友人が中心となってボランティアで活動しています。差し入れ、面会、弁護士の手配などにお金が必要です。まことに心苦しい限りですが、救援会にカンパを寄せて下さい。よろしくお願いします。

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